◆ブルージェイズ1―0マリナーズ(23日・トロント) マリナーズのイチロー外野手(36)が23日、敵地トロントのブルージェイズ戦で、大リーグにデビューした2001年から10年連続でのシーズン200安打を達成。自らが昨季、成し遂げた9年連続の大リーグ記録を更新するとともに、達成回数でピート・ローズ(レッズなど)の持つ最多記録「10」に並んだ。
イチローはクラブハウス内で、いつもの試合後と同じように自分のロッカーの前で取材に応じた。淡々とここまでの歩みを振り返った。
―記録達成。
「チームメートがみんな祝福してくれて、あっ、喜んでいいんだなと思った。2年前のこと(一部地元メディアの批判的な報道)がトラウマ(心的外傷)になってるから。ちょっとほっとした」
―達成感はあるか。
「あるある。ただ、表現しづらいというだけ」
―今季は目標ではないと言ってきた。
「2年前は目標にすることすら否定されて、今度は目標としていないのになんか変な感じですよね」
―200安打10度でローズに並んだ。
「ぜひ超えてあげたいですね」
―200安打への思いは変わらないか。
「簡単じゃないことは僕が一番知っている。それなりの思いがある」
―10年の重みは。
「1年目のスプリングトレーニングで『彼からヒットを打てると思いますか』という質問が飛んできた。いまはヒットが出ないと『何で出ないのか』という質問に変わった。そういう状況をつくれたのはすごく良かった。周りを変化させられたことに対してはちょっとした気持ち良さがある」
―投手有利と言われる今季も記録を伸ばした。
「僕の中にオプション(選択肢)があるのは武器になる。対応の引き出しが幅を生む。それがないと新しいものが現れたら対応は難しい」
―ここまでの道のりの苦しさについて。
「すごく苦しい。純粋にプレーだけさせてもらったらそんなにしんどくない。楽ではないけどね」
■感情を出すことへの恐れ
2年前、一部のチームメートから、「チームの勝利よりも記録を優先する自分勝手な選手だ」と決めつけられ、あらぬ目を向けられた。それは、「自分のことができて、初めてチームに貢献できる」というイチローの哲学が揺らぐほどのもの。結果としてイチローは、殻にこもり、自分の感情を出すことを恐れるようになっていった。
昨年、その殻をケン・グリフィーが強引にこじ開けたのだが、その彼はすでに引退し、今年もチームは100敗をうかがう勢い。イチローは記録が近づいて身構えた。
一連の経緯を聞いて、「そんなに悩んでいたのか?」と話したのは、デービッド・アーズマ。彼は、「2年前のことはいなかったので分からない」としながらも、こう言った。
「プレーオフに出られない状況になったときこそ、気を引き締めて、僕らはプレーしなくちゃいけない。そんな中でイチローは、ヒットを打つという彼の仕事をしているまでだ。最悪なのは、プレーオフに出られないからといって手を抜いたりすること。それこそ、自分勝手な選手だ」
ブルペンで、人一倍胸を張って万歳をしていたブライアン・スウィーニーも、「そんなことがあったのか」と暗い顔を見せたあと、「心配する必要なんてないのに」と言ったが、少し考えて絞り出すように続けた。
「そういう孤独を感じながらプレーし、200安打に達したのだとしたら、さらにすごい」
彼はこんな例え話をした。
「1マイル(約1.6キロ)を一人で歩くと、長く感じるだろ。でも、仲のいい友だちや子どもと歩けば、1マイルなんてすぐだ。イチローは、本来短い道のりを、何倍もの距離に感じながら、たった一人で道を歩いていたんだろうか」
■一番の“発見”は仲間の祝福
いや、イチローにも仲間はいたかもしれない。マラソンに例えれば、最初はグリフィーやマイク・スウィーニーが、ペースメーカーだった。
しかし、彼らが途中で離脱。そのあと、イチローと伴走できる選手はいなかった。今年のチームメートは2年前とは違う。イチローが振り向くことができれば、並びかけてくる選手はいたかもしれない。しかし、2年前の視線が気になり、イチローは振り返る勇気を持たなかった。
だからこそ、ブルペンの万歳はイチローの胸を打った。
試合後の会見途中、フェリックス・ヘルナンデスが、「おめでとう」とわざわざ言葉を掛けに来た。
それもイチローにとっては、特別な意味を持ったはず。2年前には、アンチ・イチロー派に、彼もまた抑制されていた。この日、わずか2安打で敗戦投手になったにもかかわらず、記録を祝福しに来たところには彼の成長もうかがえる。
今回の日米通算3500安打、10年連続200安打達成に、おそらくイチロー自身は何も期待をしていなかったはず。波風立たずに通り過ぎてくれれば、と。
しかし、チームメートがそばにいた。その発見こそが、今回の記録で意味を持ったのかもしれない。
10年連続200本安打おめでとう!!!! やっぱりイチロー選手は日本の誇りやね~ ここまで来るのには色々と障害があったかもしれないがそれを乗り越えてのこの記録。すごいの一言!!!!まだまだ自分らが驚くような記録を打ち立てて欲しい。技術もそうだけど精神力、そして日々の体のケア。大きな怪我がないのがまたすごいね。イチロー選手のストイックな所・・・私も是非見習いたいです。